江津市立青陵中学校
http://www.iwami.or.jp/seiryo/

  携帯端末による知的障害児用の自学自習教材開発
 
 

筆者は以前、担当していた知的障害の生徒に対して、プリントや具体物を用いて硬貨の合計金額や両替など買い物に関わる学習を行った。当初、生徒は硬貨の金額の価値を理解しておらず、大きさの大きい硬貨ほど価値があると思っており、100円玉より、10円玉の方が価値があると考えていた。また、50円玉が入ると合計金額を正確に言えず、50円玉1枚と10円玉1枚を合わせて20円と答えるなど概念形成ができておらず、誤答が多かった。そのため、教師が常に指導・助言を与えなければ、課題に取り組むことができなかった。3週間程度学習した時点では、お金に関する学習のうち、基本的な問題については正答率が高かったが、3ヵ月後、正答率は著しく下がっていた。このように知的障害を有する生徒は概念の定着に問題があることが多い。
以上のような経験から、継続的な指導の必要性が明らかになった。また、家庭での自学自習の習慣が身に付けば、継続的な学習が可能になることが予想される。しかし紙教材では指導者の関わりが必要であり、児童生徒が一人で学習を行うことは困難である。ところが、PCを利用することによって指導者の指導を最低限にし、自己学習が成立する可能性があることが高浜・山本・清水(2001)の研究らによって報告されている。また、PCからの即時性のあるフィードバックによって児童・生徒のモチベーションが維持されるということは東原(1997)の研究からも明らかである。さらに中程度から軽度の知的障害の子どもはPCに対する操作上の問題はさほどないことも明らかにされている(神沼、1996、1999)。
しかし、PCの利用は年収に大きく左右され、どの家庭でも保有が可能であるとは限らない。そこで、携帯電話などの携帯端末ならば、年収200万円以下の世帯でも利用率が50パーセントを超えているため、学習での利用が可能と言える(総務省、2007)。
そこで、本研究では携帯端末を利用し、「いつでも、どこでも、楽しく、自分でできる」家庭学習の教材を作成したい。そして、家庭学習を促進させ、学習内容を確実に定着させることによって、金銭処理に関しての考え方を深めることを目的とした。